平成27年度 箕面市立病院 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞のICD10別患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 1009 239 257 343 563 594 1356 2070 1488 464
当院は地域の中核病院として、幅広い疾患に対応しております。年齢分布では医療が必要な方の高齢化を反映し、70歳代が最も多くなっています。高齢の患者さまでは入院期間が長くなりますと体力、認知機能の低下が起きてしまうことがありますので、早期にリハビリテーションを行い体力低下の防止に努めております。地域医療室が中心となって地域の医療機関、ケアマネージャー、介護施設と協力して退院後の生活環境をととのえられるよう退院支援をおこなっております。
また0歳代の入院患者が多い特徴があります。これは当院が豊能広域こども急病センターと隣接することに加えて、箕面市のみならず近隣の自治体の連携医からの入院を要する紹介患者が多いことの影響があると考えられ、入院が必要な小児患者が入院できるよう病院全体で配慮しております。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)ファイルをダウンロード
内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040080x099x0xx 肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎 15歳以上 手術なし 処置2なし 186 9.97 14.34 2.15% 64.67 肺炎
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 手術なし 処置2なし 副傷病なし 170 24.44 21.69 33.53% 86.86
110310xx99xxxx 腎臓または尿路の感染症 手術なし 97 14.00 12.60 7.22% 80.45
コード1位の患者さんには所謂、市中肺炎(病院外で生活をしていた人に発症する肺炎)が多いと思われ、当院が一般健常市民に発症し、入院が必要と思われる肺炎を多く受け入れている地域の基幹病院であることを示していると思われます。さらに当院の特徴としては2位に誤嚥性肺炎の入院が多くみられます。その平均年齢86.9歳からも判るように自宅や施設などで何らかの介護を受けておられた患者さんを当院が受け入れていることを意味すると思われます。また肺疾患以外の合併症も多くあるため、1位の肺炎より平均在院日数が2倍以上になっており、現在公表されている平成27年度の誤嚥性肺炎平均在院日数は21.69日と比べても少し長くなっています。この点に関しては当院においては日常生活動作の回復のために急性期病棟治療を経て回復期リハビリ病棟に転棟し、日常生活動作の回復を得て退院される患者さんも少なからずおられるため、決して長いものではないと思われます。肺炎治療に関してはほぼ同様の急性期治療にて改善していると思われます。3位は腎臓または尿路の感染症であり、その平均年齢80.5歳からも判るように誤嚥性肺炎の受け入れと同様、高齢者の入院加療が必要と思われる尿路系感染症の多くを受け入れていることも、やはり本院の特徴と思われます。
消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060102xx99xxxx 穿孔または膿瘍を伴わない憩室性疾患 手術なし 101 6.61 7.91 0.00% 58.03 憩室炎
060190xx99x0xx 虚血性腸炎 手術なし 処置2なし 72 6.43 9.26 0.00% 67.10 虚血性腸炎
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 処置2なし 副傷病なし 69 11.29 10.93 5.80% 74.25
消化器内科で多い病気は、1位 憩室炎(大腸の壁が外に飛び出してできる憩室で細菌が繁殖して炎症を起こす病気です。)、2位 虚血性腸炎(大腸に栄養をおくる動脈の血液の流れが悪くなり起こる大腸炎です)、3位 胆管炎(肝臓の中および外の胆汁を流す管に起きる炎症で、多くは管の中にできた石が原因です。)です。いずれも急に発症し、腹痛・発熱などの症状を伴い病院を受診し、緊急での入院・加療が必要な病気です。憩室炎及び虚血性腸炎に対しては、6日間の入院期間のクリニカルパス(検査・治療等の計画をまとめたスケジュール表)を作成し、各疾患で最適化した医療を提供しています(別紙クリニカルパス参照)。胆管炎は、抗生剤投与だけで無く、積極的に内視鏡を使って胆汁を消化管に排泄したり石を取り除く処置を行い、早期退院を目指した医療を提供しています。
神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060x099000x 脳梗塞 JCS10未満 手術なし 処置1なし 処置2なし 副傷病なし 47 18.06 15.80 4.26% 72.81
030400xx99xxxx 前庭機能障害 手術なし 30 4.23 5.31 0.00% 72.93
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 手術なし 処置2なし 副傷病なし 28 25.00 21.69 28.57% 79.04
当院は救急医療を担当しており、神経内科における入院患者の3分の2以上は脳卒中、神経感染症、意識障害、けいれん、めまい発作などの急性疾患です。このため、他の診療科と密に連携しながら全身的な診療を行っております。ER(救急診療部)における神経救急疾患の診察、対応も積極的に行っております。スタッフの3名は神経学会専門医、指導医資格を有しており、十分な経験、知識をもって診療に当たっています。また、地域の神経難病診療の中核施設としてパーキンソン病を初めとして、多数の神経難病患者の診療、教育、啓蒙活動を行っております。神経難病患者が誤嚥性肺炎をおこして入院されることも多く、嚥下評価、栄養管理、リハビリテーションなどを一貫して提供する体制をとっております。また、当院回復期リハビリテーションセンターでの神経疾患のリハビリテーションにも積極的に取り組んでいます。急性期病棟から回復期リハビリテーション病棟に移動した神経疾患の主治医も継続して行っており、主治医交代なく一貫した治療を受けることができる体制になっています。
 また、大阪大学医学部神経内科、国立病院機構刀根山病院神経内科との連携も密に行い、高度な神経疾患診療ができるように努力しています。
 神経難病治療に関しては先進的なパーキンソン病治療に取り組んでおり、抗パ-キンソン病薬の治験にも積極的に参加しております。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040080x1xxx0xx 肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎 15歳未満 処置2なし 259 6.21 5.72 0.77% 3.24
040100xxxxx00x 喘息 処置2なし 副傷病なし 97 6.68 6.31 3.09% 4.07 喘息
140010x199x00x 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害 2500g以上 手術なし 処置2なし 副傷病なし 94 6.51 6.17 0.00% 0.00 新生児黄疸
当科は、箕面市の公立病院として急性疾患の診療を行っています。当院での入院患者は赤ちゃんから中学生まで幅広く分布しており月平均は20人程度です。入院患者数で最も多いものは、肺炎、気管支炎などの呼吸器感染症です。次いで多いものは気管支喘息の急性発作の入院診療です。気管支喘息は、吸入ステロイドや抗ロイコトリエン薬の内服により多くの小児患者で外来治療が可能となりましたが、急性発作のため入院を要する方が年100人程度おられます。3番目に多いものは、分娩後に治療を要する赤ちゃんの入院です。当科は公的病院として、産婦人科クリニックでのお産が難しい妊婦様を受け入れ、お産後の新生児の診療に力を入れています。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060335xx0200xx 胆嚢水腫、胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 処置1なし 処置2なし 84 5.36 7.84 0.00% 61.68 腹腔鏡下胆嚢摘出術
060150xx03xx0x 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等 副傷病なし 72 3.74 5.56 0.00% 34.19 虫垂切除術
060035xx0100xx 結腸(虫垂を含む)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 処置1なし 処置2なし 60 13.87 17.41 0.00% 72.55 S状結腸切除術
2015年大腸(結腸・直腸)がん手術件数は161件で、増加傾向を認めます。高齢の患者も多く、平均年齢は70歳を超えています。がん緊急手術にも対応し、全大腸がん患者の約15%は緊急手術を行っています。
当院外科では ①根治性 ②安全性 ③QOL に重点を置いています。
①根治性 : ガイドラインに沿った確実な手術を行っています。
②安全性 : 合併症の少ない手術を目標としています。大腸手術の主たる合併症である感染症は全国平均の10分の1と非常に低率で、安全性が認められています。
③QOL : 緊急手術においてもほぼ肛門温存手術が可能です。
大腸がんでは術後約1週間での退院が可能です。

がん以外の良性疾患(胆石・虫垂炎・ヘルニアなど)でも手術の安全性を心がけ、合併症も低率であり早期退院が可能です。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節大腿近位骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 111 51.02 28.70 7.21% 83.15 大腿頚部骨折
160760xx97xx0x 前腕の骨折 手術あり 副傷病なし 57 4.56 5.70 0.00% 52.74 橈骨遠位端骨折
160700xx97xx0x 鎖骨骨折、肩甲骨骨折 手術あり 副傷病なし 29 3.10 5.76 0.00% 40.14 鎖骨骨折
● 整形外科では入院治療が必要である、骨折に対する手術治療、関節外科手術(人工股関節、人工膝関節)、脊椎外科手術などに積極的に取り組んでいます。
● 診察の結果手術をせず保存治療で経過観察する場合は、連携できる「かかりつけ医」での治療をお願いしています。
● 骨折などの外傷外科として、四肢骨折の観血手術やアキレス腱断裂の縫合術などを行っており、これらの頻度が最も高いです。
● 重度の変形性関節症や関節リウマチに対しては股関節、膝関節の人工関節置換術を行っており、患者様の年齢、活動性、骨形態などを検討し、最適な人工関節や手術方法を決定しています。
● 脊椎外科では、頚椎に関しては椎弓形成術や前方固定術を行なっています。腰椎のヘルニアや、腰部脊柱管狭窄症に対しては後方除圧術を行ないます。腰椎の不安定や再手術例は固定術の適応としています。
● スポーツ外傷に対しては、反復性肩関節脱臼、肩関節の腱板断裂、膝半月板損傷などの治療を関節鏡を用いて行なっています。
形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020230xx97x0xx 眼瞼下垂 手術あり 処置2なし 43 2.60 3.54 0.00% 70.12 眼瞼下垂
080007xx010xxx 皮膚の良性新生物 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)等 処置1なし 30 2.67 4.38 0.00% 45.23 良性腫瘍切除
020320xx97xxxx 眼瞼、涙器、眼窩の疾患 手術あり - - 3.43 - - 眼瞼内反症
眼瞼下垂手術では小児の場合は全身麻酔、成人の場合は局所麻酔で行っています。術後出血、腫れの予防のため、1泊していただくこととが多いです。

皮膚良性腫瘍や皮膚がんのうち、小さなものは通院局所手術、大きいものや術後出血が予想される場合は入院手術(局所麻酔もしくは全身麻酔)で行っています。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080011xx99xxxx 急性膿皮症 手術なし 45 7.40 11.97 0.00% 60.22 蜂窩織炎
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 37 7.78 8.97 2.70% 72.22 帯状疱疹
180010x0xxx0xx 敗血症 1歳以上 処置2なし - - 18.99 - -
当科で入院加療を行なう疾患は、急性膿皮症と帯状疱疹が大多数です。急性膿皮症とは、蜂窩織炎、丹毒など、皮膚から皮下組織にかけての領域に生じる細菌感染症のことをいいます。高熱があったり、炎症症状(痛み、腫れ、熱感、発赤)の強い方が入院治療の対象になります。治療としては、約5日間の点滴を行ないます。帯状疱疹は、高熱や嘔気があったり、痛みが強い方、発疹の範囲が広い方、発疹が顔面に生じた方、発疹が全身に及んだ方(汎発化)などが入院治療の対象になります。治療としては、7日間の点滴を行ないます。急性膿皮症と帯状疱疹いずれもパスを作成しており、休日、夜間の救急外来経由での入院も受け入れています。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110070xx0200xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 処置1なし 処置2なし 67 8.24 7.59 2.99% 73.87 膀胱腫瘍
110080xx01x0xx 前立腺の悪性腫瘍 前立腺悪性腫瘍手術等 処置2なし 60 13.58 14.03 0.00% 68.23 前立腺全摘
110200xx02xxxx 前立腺肥大症等 経尿道的前立腺手術 35 9.60 10.25 0.00% 72.37 前立腺切除
膀胱腫瘍は大多数が悪性ですが、経尿道的な内視鏡手術で切除可能のものが過半数を占めています。悪性度が高く膀胱筋層に浸潤するような膀胱癌は、根治療法のひとつとして膀胱全摘を行いますが、症例に応じて開腹や腹腔鏡での手術を行っています。

前立腺の悪性腫瘍は、転移が無く根治的手術を希望されれば前立腺全摘除術を行います。以前は開腹や腹腔鏡で行っていましたが、平成27年6月以降はロボット支援手術を主体に行っており術後の入院期間が短縮しています。

前立腺肥大症に対しては経尿道的な切除術を行っており、大きなものでも開腹ではなく全て内視鏡手術で対応しています。
産婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120060xx02xxxx 子宮の良性腫瘍 腹腔鏡下腟式子宮全摘術等 77 6.23 6.34 0.00% 43.66 子宮全摘
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む) 腹腔鏡によるもの等 61 5.36 6.50 0.00% 42.39 卵巣腫瘍
120220xx01xxxx 女性性器のポリープ 子宮全摘術等 42 2.00 3.08 0.00% 46.64 子宮内腫瘍
子宮筋腫、腺筋症にたいして行われる腹腔鏡下子宮全摘術(TLH)は手術前日入院で術後4-5日目退院です。
子宮筋腫にたいして行われる腹腔鏡下(補助下)筋腫核出術(LM)は手術前日入院で術後3-4日目退院です。
子宮内膜ポリープにたいして行われる子宮鏡下ポリープ切除(TCR)は手術当日入院翌日退院です。
卵巣腫瘍にたいして行なわれる、腹腔鏡下子宮附属器(卵巣)腫瘍摘出術は手術前日入院で術後3日目退院です。
耳鼻咽喉科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030240xx99xxxx 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 手術なし 57 6.54 5.53 1.75% 39.49 急性扁桃炎
030428xxxxxxxx 突発性難聴 41 9.34 9.60 0.00% 58.76 特発性難聴
030390xx99xxxx 顔面神経障害 手術なし 29 9.72 9.79 0.00% 54.28 顔面神経麻痺
扁桃関連の入院は、①重症の急性扁桃炎、②扁桃周囲炎、③扁桃周囲膿瘍、などがあります。扁桃周囲膿瘍の場合は、切開排膿などの外科的処置が必要になります。
突発性難聴は、ステロイド点滴を中心とした加療を行っています。リポ化プロスタグランジンE1の点滴も施行しています。8日間の入院セットで加療していますが、症例によっては延長しています。
顔面神経麻痺もステロイド点滴を中心とした加療を行っています。明らかにヘルペスが原因と分るハント症候群ではなく、皮疹などがないベル麻痺に対しても、ヘルペスウイルスとの関連が指摘されており、内服の抗ヘルペス薬も使用しています。9日間の入院セットで加療していますが、症例によっては延長しています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 50 15 12 61 - 29 1 7
大腸癌 35 43 35 54 - 22 1 7
乳癌 - - - - - - 1 7
肺癌 21 - 18 46 - 18 1 7
肝癌 - 15 - - - 83 2 5
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
箕面市立病院では1年に約700人のがん患者が来院されます。そのうち5大がん(胃がん・大腸がん・肝がん・肺がん・乳がん)が半数以上を占めます。
消化器内科に関係する疾患は胃癌、大腸癌、肝癌です。
胃や大腸の壁は3つの層(粘膜層、粘膜下層、筋層)で出来ています。早期の胃癌、大腸癌は、内視鏡を使って粘膜層に出来た癌を粘膜層・粘膜下層までを剥がして切除しています(内視鏡的粘膜下層剥離術;ESD)。当院では平成27年度は胃ESD 24件、大腸ESD 14件施行しました。肝癌に対する治療は、ラジオ波焼灼術(癌に電極針を刺して高周波電流を探し発生した熱で癌を焼き固める治療)、肝動脈塞栓術(肝動脈にカテーテルを挿入して、抗癌剤を注入し癌に栄養を送っている動脈を塞いで癌を壊死させる治療)を行っています。当院では平成27年度はラジオ波焼灼術 46件、肝動脈塞栓術 51件施行しました。
内科では、肺癌化学療法については免疫チェックポイント阻害薬、分子標的治療薬を含め高齢者、術後再発患者を中心に行なっています。

2015年外科での手術件数は約1000件ですが、このうちがんの手術件数は300件を超えており(食道がん+胃がん72件・大腸がん161件・肝胆膵がん29件・肺がん43件・乳がん-件)、現在も増加傾向を認めます。

手術以外の治療法(内視鏡治療・化学療法・緩和医療・がん相談)にも力を入れています。
がん診療推進部・内視鏡センター・化学療法委員会・緩和ケア委員会など医師・看護師・薬剤師・事務等のスタッフがチームで患者様の治療に取り組んでいます。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
重症度 0 79 7.42 50.01
重症度 1 100 12.19 76.67
重症度 2 37 14.38 81.54
重症度 3 - - -
重症度 4 - - -
重症度 5 - - -
不明 - - -
市中肺炎とは病院外で日常生活をしていた人に発症した肺炎です。肺結核、誤嚥性肺炎、院内肺炎 などは含まれていません。重症度はA-DROPシステムと呼ばれるもので分類されます。すなわち年齢、脱水の程度、酸素の取り込み状態、意識障害の有無、低血圧の有無にて重症度が決定されます。0は軽症、1、2は中等症、3以上は重症、さらに4、5は超重症となります。軽症の場合は外来治療が中心となりますが、患者さんの状態によって入院加療となる場合があります。重症度の決定には上記のとおり年齢(男性70歳以上、女性75歳以上)も加味されています。患者さんの平均年齢からも判るように成人(20歳以上)市中肺炎では高齢者の市中肺炎が多く含まれていることが1、2の所謂、中等症の患者が最も多い理由と思われます。
脳梗塞のICD10別患者数等ファイルをダウンロード
ICD10 傷病名 発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
G45$ 一過性脳虚血発作及び関連症候群 - - - - -
G46$ 脳血管疾患における脳の血管(性)症候群 - - - - -
I63$ 脳梗塞 3日以内 52 25.69 74.69 9.72%
その他 20 24.30 74.95 2.78%
I65$ 脳実質外動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの - - - - -
I66$ 脳動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの - - - - -
I675 もやもや病<ウイリス動脈輪閉塞症> - - - - -
I679 脳血管疾患,詳細不明 - - - - -
当院神経内科では速やかに急性期脳梗塞を診断し、急性期治療、急性期リハビリテーションを開始しております。おおよそ1-2週間の急性期治療の後は当院回復期リハビリテーション病棟に移り、在宅復帰に向けた集中的なリハビリテーションを切れ目なく行う体制が整っています。脳梗塞をおこした患者様は内科的な合併症、たとえば高血圧症、脂質異常症、糖尿病、不整脈(心房細動)、心疾患(狭心症、心不全)などを伴う場合も多く、これらの治療、食事・生活指導なども行い、脳梗塞再発予防にも努めております。退院後は掛かりつけ医と連携して再発予防、経過観察を行っております。
 脳梗塞発症直後の超急性期といわれる時期(数時間以内)には詰まった脳の血管を再開通させる血栓溶解療法(rt-PA治療)、あるいは機械的血管内血栓吸引療法が有効である場合がありますが、この治療は当院では実施できず、他の病院の脳卒中センターにお願いすることになります。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)ファイルをダウンロード
消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 47 2.32 11.38 12.77% 74.85
K6152 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(選択的動脈化学塞栓術) 38 1.42 10.13 0.00% 76.18 肝動脈塞栓
K654 内視鏡的消化管止血術 37 0.95 10.11 5.41% 67.92
内視鏡的胆道ステント留置術は胆石や腫瘍による胆道の狭窄で生じる黄疸や感染を治療する方法です。プラスチックや金属でできたステントと呼ばれるチューブを内視鏡を用いて胆道に留置して、胆汁の流れ道を確保します。早期に症状を改善することができます。
血管塞栓術は、肝癌に対する治療で、肝動脈にカテーテルを挿入して、抗癌剤を注入し癌に栄養を送っている動脈を塞いで癌を壊死させる治療です。当院では10日間の入院期間のクリニカルパス(検査・治療等の計画をまとめたスケジュール表)を作成し、最適化した医療を提供しています(別紙クリニカルパス参照)。
内視鏡的消化管止血術は胃・十二指腸潰瘍や肝硬変に伴う食道静脈瘤、また大腸の憩室からの出血に対し内視鏡を用いて止血する治療法です。出血が多量になると生命に関わるため、夜間・休日でも速やかに検査・治療が行えるよう、緊急検査の体勢を整えています。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6335 鼠径ヘルニア手術 150 0.46 1.67 0.67% 68.75 鼠径ヘルニア
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 142 1.73 3.37 0.70% 62.28 胆嚢摘出
K7193 結腸切除術(全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術) 70 5.43 15.04 10.00% 72.20 S状結腸切除
2015年大腸(結腸・直腸)がん手術件数は161件で、増加傾向を認めます。高齢の患者も多く、平均年齢は70歳を超えています。がん緊急手術にも対応し、全大腸がん患者の約15%は緊急手術を行っています。
当院外科では ①根治性 ②安全性 ③QOL に重点を置いています。
①根治性 : ガイドラインに沿った確実な手術を行っています。
②安全性 : 合併症の少ない手術を目標としています。大腸手術の主たる合併症である感染症は全国平均の10分の1と非常に低率で、安全性が認められています。
③QOL : 緊急手術においてもほぼ肛門温存手術が可能です。
大腸がんでは術後約1週間での退院が可能です。

がん以外の良性疾患(胆石・虫垂炎・ヘルニアなど)でも手術の安全性を心がけ、合併症も低率であり早期退院が可能です。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(肩甲骨、上腕、大腿) 81 4.74 32.96 8.64% 77.84 大腿骨近位端骨折
K0462 骨折観血的手術(前腕、下腿、手舟状骨) 65 1.94 7.98 0.00% 59.25 橈骨遠位端骨折
K0811 人工骨頭挿入術(肩、股) 49 5.92 49.08 2.04% 83.51 大腿頚部骨折
● 整形外科では入院治療が必要である、骨折に対する手術治療、関節外科手術(人工股関節、人工膝関節)、脊椎外科手術などに積極的に取り組んでいます。
● 診察の結果手術をせず保存治療で経過観察する場合は、連携できる「かかりつけ医」での治療をお願いしています。
● 骨折などの外傷外科として、四肢骨折の観血手術やアキレス腱断裂の縫合術などを行っており、これらの頻度が最も高いです。
● 重度の変形性関節症や関節リウマチに対しては股関節、膝関節の人工関節置換術を行っており、患者様の年齢、活動性、骨形態などを検討し、最適な人工関節や手術方法を決定しています。
● 脊椎外科では、頚椎に関しては椎弓形成術や前方固定術を行なっています。腰椎のヘルニアや、腰部脊柱管狭窄症に対しては後方除圧術を行ないます。腰椎の不安定や再手術例は固定術の適応としています。
● スポーツ外傷に対しては、反復性肩関節脱臼、肩関節の腱板断裂、膝半月板損傷などの治療を関節鏡を用いて行なっています。
形成外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2191 眼瞼下垂症手術(眼瞼挙筋前転法) 23 0.00 1.35 0.00% 71.48 眼瞼下垂
K2193 眼瞼下垂症手術(その他) 16 0.06 1.69 0.00% 74.75 眼瞼下垂
K0063 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径6cm以上) 12 0.42 2.00 0.00% 47.08 良性腫瘍摘出
成人の眼瞼下垂手術は午前入院、午後手術で行っています。眼瞼下垂の原因によって術式を変えており、眼瞼挙筋が瞼板から外れるタイプ(腱膜性眼瞼下垂)では眼瞼挙筋前転法、皮膚の高度弛緩によるタイプは余剰皮膚切除術(その他のもの)眼瞼挙筋機能がほとんどない場合は前頭筋つり上げ手術で対応しています。

 皮膚良性腫瘍、皮膚がん手術の場合、全身麻酔は手術前日入院、局所麻酔では手術当日入院していただきます。
腫瘍が再発しないように根治性を目指すことはもちろん、手術による機能障害、変形が少なく、傷跡が目立ちにくくなるように機能面、整容面も考慮した手術治療を目指しています。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K843 前立腺悪性腫瘍手術 61 1.36 11.26 0.00% 68.16 前立腺全摘
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) 61 1.67 5.57 1.64% 74.38 膀胱腫瘍切除
K8411 経尿道的前立腺手術(電解質溶液利用) 54 1.44 6.35 0.00% 73.11 前立腺切除
前立腺癌の根治手術は、ほとんど全てロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘術を行っており、手術前日入院で術後10日目に退院となっています。

筋層非浸潤性の膀胱癌は経尿道的な内視鏡手術を行っており、前日入院で術後3日目に尿道カテーテルを抜去して4日目に退院となっています。         

前立腺肥大症の手術は、全て経尿道的な内視鏡手術を行っており、前日入院で術後5日目に尿道カテーテルを抜去して7日目に退院となっています。
産婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8882 腹腔鏡下子宮附属器(卵巣)腫瘍摘出術 102 0.91 4.63 0.00% 41.69 卵巣腫瘍摘出
K877-2 腹腔鏡下腟式子宮全摘術 57 1.05 4.60 0.00% 46.26 子宮全摘
K872-3 子宮内膜ポリープ切除術 51 0.00 1.00 0.00% 46.73 子宮内腫瘍摘出
子宮筋腫、腺筋症にたいして行われる腹腔鏡下子宮全摘術(TLH)は手術前日入院で術後4-5日目退院です。
子宮筋腫にたいして行われる腹腔鏡下(補助下)筋腫核出術(LM)は手術前日入院で術後3-4日目退院です。
子宮内膜ポリープにたいして行われる子宮鏡下ポリープ切除(TCR)は手術当日入院翌日退院です。
卵巣腫瘍にたいして行なわれる、腹腔鏡下子宮附属器(卵巣)腫瘍摘出術は手術前日入院で術後3日目退院です。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他) 837 0.00 1.47 0.12% 75.77 白内障
K224 翼状片手術(弁の移植を要する) - - - - -
K2822 水晶体再建術(眼内レンズを挿入しない場合) - - - - -
手術はほとんどが水晶体再建術(白内障手術)で、日帰り入院、一泊入院、二泊入院のいずれかでおこなっています。手術は局所麻酔でおこない、全身麻酔や鎮静が必要な方や、多焦点レンズ・乱視用レンズ挿入を希望される方は大学病院等へ紹介しています。翼状片手術はさまざまな方法がありますが、当院では翼状片切除後に下方結膜を移動させて縫合する有茎弁移植を併用し、マイトマイシンCを使用しない方法でおこなっています。いずれの手術もかかりつけ医から紹介頂いた場合は、術後1週間から1ヶ月程度当院で経過をみさせて頂き、落ち着いておればかかりつけ医に逆紹介させて頂いています。もし術後に問題があれば再度ご紹介頂くかたちで緊密に連携をとっています。
また外来診療では、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、緑内障、網膜裂孔、後発白内障などに対するレーザー手術、 黄斑浮腫や加齢黄斑変性などに対する抗VEGF薬硝子体注射などの処置もおこなっています。より高度な治療や検査を要する場合は大学病院等へ紹介し、落ち着けばかかりつけ医に逆紹介することで、病病連携・病診連携をはかっています。
耳鼻咽喉科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) 23 1.00 7.48 0.00% 22.74 扁桃摘出
K340-6 内視鏡下鼻・副鼻腔手術4型(汎副鼻腔手術) 12 1.00 6.50 0.00% 49.00 慢性副鼻腔炎
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) - - - - -
口蓋扁桃摘出術は、いわゆる”扁桃腺”の手術です。繰り返し扁桃炎を起こしている症例や、扁桃が大きいために不都合な事が起こっている症例(睡眠時無呼吸症候群など)などが対象です。術後合併症として術後出血があり、手術創部の状態をみながら退院日を決めますので、最短で術後6日目退院の予定としていますが、創部の治癒具合により入院期間が延びます。退院後も術後3週間は生活制限が必要です。
内視鏡下鼻副鼻腔手術は、その多くがいわゆる”ちくのう”の手術です。以前は、口の中(犬歯窩)から手術をしていましたが、今は内視鏡を使って鼻の中で手術しますので、以前の術式に比べ、患者さんの負担は随分減っています。副鼻腔は複数あり、どの範囲を手術するかで、4型や3型などと名称がつけられています。退院は術後6日目の予定で、多くが予定通りですが、鼻内の状況のよって退院が延びる事もあります。また、鼻の手術は、手術そのものと同じくらい術後加療が大事です。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる 14 0.17%
180010 敗血症 同一 16 0.19%
異なる 26 0.31%
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 23 0.27%
異なる - -
当院では播種性血管内凝固症候群(DIC)、敗血症、その他の真菌感染症、手術・術後の合併症の発生率はいずれも1%未満と低く抑えられています。

入院の契機と同一とは、入院する際にすでに起こっていた傷病であることを示しています。
入院の契機と異なるとは、入院時に治療目的とした疾患とは異なることを示しており、入院中に発症した傷病であることが多いです。
表中の手術・処置等の合併症の主な内訳は、「処置に合併する血腫、他に分類されないもの」、「体内関節プロステーシスの機械的合併症」、「処置に続発する感染症、他に分類されないもの」などです。
更新履歴
2016/09/30
新規掲載